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福島県産品の販売促進と「公共の福祉」

森雅子大臣が、風評被害対策として、福島県産品を小売店に
扱うよう命令したり、販売する店舗を優遇することができる
ような法律の策定を検討するという報道がありました。

「…小売店に震災前と同じように県産品を扱わせること検討する。
憲法で『営業の自由』が認められているが、公共の福祉のためなら
例外も適用される。」のだそうです(1月3日の福島民報より)。

この「公共の福祉」の言葉の使い方に違和感を感じて、
あれこれ考えていました。

なるほど、憲法第22条には、「何人も、公共の福祉に反しない限り、
居住、移転及び職業選択の自由を有する。」とあります。

この「公共の福祉」の意味を考える上で、ヒントになるのは、
営業の自由に関する判例、小売市場事件判決(最大判S47.11.22)
と薬事法判決(最大判S50.4.30)です。

この2つの判決から、「公共の福祉」を抜書きしてみると、

・社会生活における安全の保障や秩序の維持
 (自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害のうち
 社会公共の安全と秩序の見地から看過することが
 できないもの。
 …制約よりも自由が先行するものだというところが大事です。
  自由が前提にあって、しかし放置したら弊害が生じるから
  弊害を防止する限度で制約するという順番です)
・国民経済の健全な発達
・国民生活の安定
・社会経済全体の均衡のとれた調和的発展

ということになります。

しかも、上記のような公共の福祉による制約の合憲性を
判断するにあたっては、規制の目的、必要性、内容、
これによって制限される人権の性質、内容、制限の程度との
比較考慮をして、判断しています。
(目的によって衡量の仕方に違いはありますが)

つまり、「公共の福祉」による人権制約も、営業の自由との
バランスの中で肯定できるものになるというわけです。

ということで、もう一度、福島県産品の取り扱いの命令
について考えてみると、

ここでの「公共の福祉」の内容は、(風評被害で困っている)
福島県の生産者の利益(救済)です。
社会経済全体とか、国民生活といった、国民全般に関連する
利益とはいいにくい。

また、社会経済全体の均衡、調和の見地から、原発事故の
被害を受けた生産者の救済を図るというのであれば、
理解できるのですが、そこで“福島県”としてしまうと、
特定の者の利益に摩り替わってしまうように思います
(福島民報でのインタビュー記事ですから、
あまり細かいことを言うのも、恐縮なのですが)。

他方、制約の方法について見ると、仮に産品の仕入れを
小売店に命令するとなると、小売店の営業活動の中心部分に
国が積極的に介入するという、直接かつ強力な権力行使と
なります。
(何をいつどれぐらい仕入れるかは、小売店の営業活動のうち
最も重要な要素の1つでしょう)

福島の生産者の救済という特定の利益(救済)を実現したい
というのが先にあって、そのために、小売店の営業の自由に対し
国が積極的に介入しようという順番になります。

これって、順序もベクトルも反対です。

特定の者の救済を図るのであれば、救済すべき者に対して、
助成など、援助をするべきなのです。
(弱っている対象に対して、国が補うというやり方)

ところが、今回の法律のイメージは「公共の福祉」という言葉を
媒介にして、「特定の者の利益(救済)」のために、
小売店の営業の自由に対して、国が直接かつ積極的に介入するのを
よしとしようとしている。
(国が全国の小売店の自由に積極的に介入することで、
特定の利益(救済)を図る)

これでは筋が違いますし、「公共の福祉」という言葉を
取り違えています。

全体主義、利益誘導の政治と言われても、仕方ないのでは
ないでしょうか。

追記 福島県を特区として県内のみで命令できるように
するとなると、話が別になります。
しかし、いずれにせよ自由が前提にあり、必要かつ合理的な
範囲で制約が許されるというベクトルとは逆だということには
変わりありません。
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