橋下市長の入試中止発言を解剖してみる

橋下大阪市長が、桜宮高校の体育科について
今年度の入試の中止などを求めているそうです。

その是非については、一先ず置いておいて
ここでは、法的な観点から整理してみようと
思います。

せっかく法律を勉強するのに、単なる試験対策で
終わらせては、つまらないですし、
トピックな話題を法的側面から見てみると
より理解も深まりますしね。

そこで、まず最初に見るべきは、市長に市立高校の入試の
中止を決定する権限があるのか―、です。

結論からいうと、市長にそのような権限はありません。

市立高校の入試や教員人事の管理については、
教育委員会の権限とされています(地教行法23条)。

市長は、市の最高の執行機関としてその事務を統轄し、
行政各部を管理しますが(地自法147条)、教育など
一部の事務については、政治的中立性を確保するなどの理由で、
行政委員会・委員が、長から独立して管理・執行する
ことになっているからです(地自法180条の5など)。

これが執行機関の多元主義です。
権限を分散して、民主的な行政を実現する趣旨です。

では、橋下市長の発言というのは、何を根拠とする
ものかといえば、統轄権に基づく要請(お願い)
ということになろうかと思います。
強制力のある命令ではない、ということです。

市長の統轄権も、多元主義を前提として、最終的な
一体性を保持するために行使すべきものですから。

では、市長がもっと強力に関与できないのかというと、
予算の調製や人事を通じて関与する、ということになります。

市の教育委員会の委員の任命権は、市長にありますし。

しかし、教育委員会が市長の意向とは異なる措置を
選択した場合に、そこから教育委員会のメンバーを
入れ替えるというのは、現実的ではないでしょう。

そこで、橋下市長も、自分の意向に反して、入試などが
行われた場合には、予算の執行を止めると発言している
のだと思われます。

そう。確かに、長には、予算の調製権がありますし、
執行権もあります(地自法211条)。

ただし、予算については、議会の議決を経なければ
なりません(地自法210条)。

議会は、長の予算の調製権を侵害するような修正はできないと
されているものの、長の思うとおりに予算が成立するとは
限りません。

そして、議会が議決した予算について、長が執行できないと
判断したときは、長は、議会の再議に付さなければなりません
(地自法177条)
仮に、再議に付したのに、議会が長とは異なる議決を
した場合には、長はこれに従うしかありません。

ということで、長が予算の執行を止めるという発言をして
いますが、直ちにそのようにできるわけではない、
ということです。

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