FC2ブログ

リンクを貼るということ

昨年末、裁判官がツイッターで、性犯罪事件の判決文のリンクをに掲載するとともに、その事件についてリードのような文章をつぶやいていたことから、遺族から不快であると指摘され、話題になりました。

こちらの問題については、もともと裁判所の内規では、性犯罪事件の判決は最高裁のサイトに掲載しないとしていたのに、裁判所の手違いで誤って掲載されてしまっていたのが問題であった、その裁判官は公開された判決にリンクを貼っただけである、というところに収束しつつあるような感じです。
もっとも、最高裁は児童ポルノのURLをホームページ上に掲載した行為について、児童ポルノ禁止法4条の「公然と陳列した」と判示していますし(最決S24.7.9)、その裁判官も、その判決の掲載が内規違反にあたることをご存知だったふしもあります。

そうすると、最高裁の判示に照らす限り、ツイッターでその判決文にリンクを貼ったことについて問題はあるのだろうなと思います。
特にツイッターの場合、リンクを貼ると自動的にそのリンク先の一部が表示される仕様となっており、単なるURLを構成する文字情報を示すだけにとどまらないことにも留意が必要のように思います。

しかしながら、翻って、犯罪被害者ご遺族に配慮しつつも、判例をどのような形でどこまで公開すべきかについては、そもそも慎重に考え直す必要があるのではないか・・・そんな気がしています。

もちろんご遺族の方の心情にも配慮が必要であるのはそのとおりですが、その心情にどこまで配慮すべるのが妥当かという問題は、非常に難しいところです。
ご遺族からすれば、判決に限らず、事件をめぐるマスコミのまっとうな記事であっても心痛を覚えないわけがありませんし、事件を想起させるものは、単なるキーワードであっても、心を痛むことに違いないからです。

他方、判決文の公開というのは、司法の公正及びそれに対する国民の信頼を確保するためになされる裁判の公開(憲法82条)の一環でなされるものです。
また、裁判情報は国民の財産として、判決へのアクセスが広く国民に保障される必要があるものです。
民主国家における法治主義を全うするためには、現在の法令とともに、その法令の適用の結果についても、広く周知されるべきものだからです。

そういう意味では、裁判所が内規で掲載・非掲載を決めていたことも、問題であり、少なくとも、その基準は公開しておくべきもののように思います。

そして、ここからは本当に悩ましいのですが、何万という判決文を収録している最高裁サイトの中に匿名処理をした判決文を掲載している状態と、フォロワー数の多いツイッター、あるいは集客量のあるサイトで特定の判決文を個別に取り上げることとは、別に考える必要があるのかもしれません。
また、その取り上げ方も、考慮すべきであると思われます。

いずれにせよネット上にある情報は、基本的にはブラウザによって誰でも閲覧が可能な状態にあるわけですが、実際には、アクセスの容易性には大きな差があり、また、その取り上げ方にいかんによって、情報を受け取る者の認識や印象を変えてしまうものだからです。
スポンサーサイト
行政書士合格集中講座
FC2ブログランキングに参加中です。クリックをお願いします! にほんブログ村 資格ブログへ   

テーマ : 行政書士試験 - ジャンル : 就職・お仕事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ベリース 葛原久美

Author:ベリース 葛原久美
行政書士講座の講師をしています。
合格の芽を出すお手伝いができるよう、日々みなさんと一緒に頑張っていきたいと思います。

ベリースのeラーニング講座
最近の記事
カテゴリー
カレンダー
11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
リンク
このブログをリンクに追加する
月別アーカイブ